老化と活性酸素

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活性酸素研究と対策のパイオニア、三石巌先生

野村宏

活性酸素研究と対策のパイオニアで、自身の体で結果をだされた三石巌先生の本から、免疫系の老化とその対策をご紹介します。

活性酸素とその対策を研究し、ご自分で実践し、90歳を過ぎてなお明晰な頭脳と精力的な活動を維持された元津田塾大学教授、三石巌先生の著作をご紹介します。
※三石先生の著作を、このブログでご紹介することに、先生のご遺族の了承をえております。

三石先生が90歳を過ぎて出された本「老化と活性酸素」

野村宏

この本は、1991年に発売されました。もう30年以上たっていますが、その内容はまったく色あせていません。

発売時に90歳を過ぎて、しかも60代で空腹時血糖値が300にもなる重度糖尿病を患われた先生が、この本にあるような綿密な活性酸素対策と、ご自身で理論化された分子栄養学による栄養対策で、特に頭脳の若さを見事に維持し、90歳を過ぎても、執筆や講演活動を精力的に続けられた事実の説得力が圧倒的です。

この本では、体の部位ごとの、分子レベルでの栄養素と活性酸素の働きを詳細に解説し、その老化メカニズムについての仮説を提唱し、かつ対策を述べられています。

その解説されている部位はいろんな所にわたり、〇骨、〇関節、〇筋肉、〇血管、〇肌、〇脳、〇目、〇耳、〇細胞、〇免疫系、〇ホルモン系、など非常に多くの部位で、活性酸素がどのようにして老化を促進しているかのメカニズムを非常に詳細に解説されています。

内容が非常に豊富なため、全部を理解するのはなかなか大変ですが、上に書いたさまざまな部位のうち、ご自分が気になる部位だけをじっくり読んで、その老化を防ぐための活性酸素対策の大切さを理解すれば大いに役に立ちます。

その部位の老化のメカニズムを分かっていれば、そのために実行する活性酸素対策もしっかりがんばる気になるでしょう。老化を防ぐバイブルとして本棚においておくことをお勧めします。

三石先生のご著書「老化と活性酸素」の概略

野村宏

免疫系の老化についての部分に焦点をしぼらせていただきます。


他の部位に関心をお持ちの方は、ぜひ本をお買い求められ、お読みになることをお勧めします。

免疫とはなにか

免疫とは「自己と自己でないものを見分けて、自己でないものを排除する仕組」です。細菌・ウィルス・ガン細胞などから自己の命を守るため、その敵となるものを排除する仕組です。

ただ、老化するにつれて、免疫系が自己と自己でないものを見分ける能力が劣化し、自己であるものを「自己でない」と間違えて排除してしまうことがあります。自己免疫病といわれるもので、リューマチなどがこれにあたります。

免疫を受け持つ細胞の種類

体内で免疫を受け持つ細胞には、リンパ球、顆粒球、マクロファージ、樹状細胞の4種類あります。このうち、マクロファージ、樹状細胞は、リンパ球であるT細胞とB細胞の相互作用を受け持ちます。これは免疫系の中での役割の話しです。

また、顆粒球の一つである好中球は、強力な活性酸素を発生させ、ウィルスや細菌をやっつけます。ここでのテーマは「免疫系の老化」ですので、リンパ球のできる過程と、各種のリンパ球の役割について詳しくご説明します。

リンパ球はすべて骨髄で作られます。T細胞、B細胞、NK細胞です。そのうち、心臓の上あたりにある胸腺に運ばれ、リンパ球の教育機関といわれる胸腺で、各種の免疫機能を持つようになったものがT細胞です。

T細胞は胸腺で、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、キラーT細胞に機能が分かれます。ヘルパーT細胞がB細胞の生産を促進し、サプレッサーT細胞がそれを抑制する役目があり、この二つでB細胞の量を適正にコントロールします。

そしてT細胞のスター、キラーT細胞が、ウィルスに感染し、自己でないものに変質した細胞を殺します。

キラーT細胞は、標的となる細胞の膜にトンネルのような穴をあけ、その穴をカルシウムイオンでつくった板状の枠で補強してしまいます。この穴から標的細胞に外部から水や塩類が流れ込み、その細胞を死にいたらせるのです。キラーというにふさわしいあざやかさです。

胸腺の老化が免疫系を老化させる

「免疫を受け持つ細胞の種類」で説明しましたように、T細胞は胸腺で教育され、各種の機能を持つようになります。しかし、この胸腺は12歳ごろに一番大きくなり、その後年齢とともに小さくなっていきます。

さらに胸腺の表面にあってT細胞の教育をになっている皮質が結合組織などになり機能が劣化していきます。これが老化とともに、T細胞が持つべき機能が劣化したリンパ球を増やすことになり、自己なのに自己でない細胞と間違えて攻撃する、ということが増えていきます。

白内障でもそうですが、タンパク質の結合組織化による劣化には活性酸素によるものが大きいとされます。となると、ここでも、活性酸素対策が老化を遅くするために重要ということになります。

すなわち、①活性酸素の発生原因を減らす、②活性酸素を消す抗酸化物質をとる、を積極的にする必要があります。また、活性酸素対策として、三石理論の発展形として、③活性酸素の酸化力を防御する。という点を付加することをご容赦ください。

以上が三石先生が「老化と活性酸素」という本の中で、免疫系の老化とその対策について書かれていることの概要です。三石先生は、膨大で該博な知識の持ち主ですので、この本では上記の私の要約の各部分に詳細な解説をつけられています。それを私の方で要点を抜粋し、流れを簡略にしてありますので、ご容赦願います。

老化と活性酸素 (健康自主管理システム3) 


第3巻の本書では遺伝子レベルで必要な栄養素を摂ることによって、健康レベルを押し上げる「三石流アンチエイジング」の方法を解説しています。「老化」が他人事でない著者が、「老化」問題に直面したときの立ち向かい方、考え方を分子栄養学の観点から著者自身が実践していることを中心に紐解いていきます。老化克服の基本も知識の構築にあり、「怠慢や無知が解消すればある種の老化が元に戻ることも」とも。高齢社会の今、全国民必読の書であると言えるでしょう。

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