共存こそがビジネスの未来! 利益を独り占めする人への対策

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ビジネスの世界にいる「利益を独り占めしようとする人」

野村宏

これを研究対象にするトップMBAスクールの研究者がいるんです。アメリカのビジネス研究は日本と違いますね!

ビジネスは一人ではできません。

特に私がお勧めしている一人起業では、会社の外の人たちと役割分担をしながら協力関係を築き、ビジネスを成功させるよう努力しないと成功はおぼつきません。会社の中で仕事をするときも、社内の人たちと協力しながら進めることは同じです。

こうやってビジネスを進め成功の可能性が高まったときに、非常に高い確率ででてくるのが「利益を独り占めしようとする人」です。

ビジネスとしての成功がまだ遠い段階では「お互い協力してがんばって成功させましょう!」とか言っていた人が、成功が見えてきたある時、コロッと態度を変え「このビジネスの成功にはオレの貢献が大きい。だから利益のほとんどはオレがとるべきだ!」とか言い出すのです。

その主張を正当化するため、わけのわからない屁理屈を並べたてるのもよくある光景です。当然、他の人たちは納得できないので争いになり、最後はケンカ別れになることも多い。

ビジネスは成功させることも難しいですが、成功した後の利益の分配も非常に難しいんです。

利益を独り占めする人への対策

野村宏

この問題に対する対策の基本は、早い段階で利益の分配基準をハッキリさせておくことです。

「そんなの当たり前じゃないか?」と言われるかもしれません。

ただ実際は、日本の中小企業の場合、利益が出そうなビジネスのネタがあると協力者が次々と現れ「利益は均等に分けましょう!」とかいう安直な合意で事業を始め、事業の成功が見えてくると「利益を独り占めしようとする人」があらわれる、というケースが結構多いんですね。

例え、早い段階で利益分配を契約でハッキリ定めビジネスをスタートしても、「利益を独り占めしようとする人」はひとすじなわではいきません。

あらゆる屁理屈、大きな声を駆使して、なんとか自分だけが大きな利益をえようとします。この「利益を独り占めしようとする人」が入ると、円満な利益の分配は非常にむずかしいのです。

野村宏

結局、一番の解決策は「利益を独り占めしようとする人」をビジネスの内部に入れないことです。

リーズナブルな利益分配をしようと考える人だけの間なら、いやな思いをすることなく分配できるのです。

といっても「利益を独り占めしようとする人」を早い段階で見分けるにはどうしたらいいか?

野村宏

これがなかなか難しい。こんな人に私も散々嫌な思いをさせられたので、どうやって見分けたら良いのか考えましたが、ビジネスにしようとする最初のころは、みなさん笑顔で将来うまくいったビジネスの姿を語るので、なかなか「利益を独り占めしようとする人」の本音が見分けられないんです。

そんな時、あるビジネス書の広告が目に入りました。ちょっとビックリかもしれませんが、こんな「利益を独り占めしようとする人」の見分け方を、アメリカでNo.1のMBAウォートンスクールの教授が研究テーマにしているんですね。

それは Dr. Adam Grant の Give and Take という本です。

この表題をみて、これは私の悩みである「利益を独り占めしようとする人」を見分ける方法を紹介してくれるのではないかと直感し、すぐに購入しました。

本書は、ビジネスに関わるさまざまな人たちを3種類に分類します。

① Taker

取る人→私の言う「利益を独り占めしようとする人」ですね

② Giver

与える人→見返りを求めるのではなく与える人

③ Matcher

調整する人→与えられたら返す、与えたら返してもらう、を常に意識している人

野村宏

普通に考えると、Giverは、利益を独り占めしようとしていろいろ仕掛けてくるTakerに食われてしまい、ほとんどの人が失敗するのでは、思ってしまいます。

もちろん、最も失敗する層に入ってしまうGiverは、Takerに食いつくされてしまいます。では、成功するGiverは何がちがうのでしょう?

それは、Takerを見分ける眼を持ち、相手がTakerと判断したら、与えられた分を返すMatcherとして行動し、ただ食われてしまうことを避ける賢さがあることが違うそうです。

このTakerに食われない賢さがあれば、Giverの多くの人の信頼を獲得し、人脈が長期的に広がっていくという本来の強みが生き、長期的には最も成功する人になるんですね。

逆にTakerは、いろいろとテクニックを使って、自分が相手に利益を与えるGiverであるようなフリをして取り入り、ビジネスが利益になりそう、と見たときから態度を変え、また別のテクニックを弄して自分が利益を独占するようにもっていきます。

でも、こういう行動を繰り返していれば、周囲には、そういう人間だという悪評がかならず立ちます。Takerが長期的には成功できない理由がここにあります。

長年「利益を独り占めしようとする」行動を続けていると「そんな奴に力を貸すのは嫌だ!」という人ばかりが増え、誰も力を貸してくれなくなります。そうなったらビジネスでの成功はおぼつきません。

目の前のビジネスで、テクニックを弄して「利益を独り占めしようとする」ことが自分の賢さの表れだと思っている人は多いですが、長期的には悪評はかならず広まります。特にSNSが発達した現在は、その悪評が広まるのがずっと早くなっているのでなおさらです。

野村宏

本書で紹介されている「Taker=利益を独り占めしようとする人」の見分け方が面白いので紹介します。

会社案内や決算報告書などに掲載される会社のCEOの顔写真の大きさは

この顔写真の大きさとTaker度が正比例する!

Takerは自分に対する関心だけが異常に強いのが特徴なので「自分を大きく見せる」行動が、どうしても色んなところで出るんですね。

野村宏

最初に読んだときは、顔写真の大きさとTaker度が正比例するなんて、学者が書いたとは思えない冗談のような内容だと思ったのですが、「自分を大きく見せる」行動としてみれば、これがハズレがない判断基準なのでしょう。

ビジネスを進めていくとき、その中に「利益を独り占めしようとする人」がからむと、結果的にチームワークがみだれ、ビジネスがかなりの確率で失敗します。そのため「利益を独り占めしようとする人」をビジネスの中枢部に入れないことが、その成功には大きな要素になります。

顔写真の大きさに代表される「自分を大きく見せる」行動が強すぎないか注意深く見ていくと、私の経験から見ると想像以上に的確に「利益を独り占めしようとする人」を判定できます。

ちなみにDr. Adam Grantによると「アメリカ人の3分の2はTakerと見るべし!」といっています。

私の実感では、日本人ではアメリカ人と同じような比率の人がTakerで「アジアの某国では98%以上をTakerと見るべし!」と思います。冗談と思われるかもしれませんが、このTakerの判別法はビジネスの成功に間違いなく大きな効果があります。

もし関心を持たれたら、Dr. Adam Grant の Give and Takeをアマゾンで検索してみてください。日本語版が出ています。あなたのこれからのビジネスにきっと役に立ってくれます。

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