一人の男に4人の奥さんがいて人数が釣り合うという状況とは?
イスラム教は、初期は中央アジアの草原地帯(今でいうカザフスタン・トルクメニスタン・アフガニスタン・ウズベキスタンなど)で広まりました。
このあたりの草原地帯での暮らしは、わずかに生える雑草を羊が食べ、その乳や肉を人が食べ、また草原地帯で生きるケモノを巻き狩りという集団作戦で狩り、それを食べることで成り立っていました。
羊はわずかな草を食べつくしてしまうので、別の草が生えている土地を探して移動し続けなければなりませんし、その土地のケモノも巻き狩りで狩りつくしてしまうので、他の土地に移動してケモノを探さないといけないんです。
こうやって草原地帯を移動すれば、当然そこには今まで生活していた部族がいます。その部族が黙って移動してきた部族を受け入れるはずがありません。自分たちが食べるための羊を育てる草原を奪われてしまうのですから。
ここで、どちらの部族が生き残るかの戦いが始まります。両方の部族が食べていくだけの羊を養える草はどこにもないので、戦いは避けられないんです。草原地帯で、羊を育てて生活していく、という仕組みそのものが、部族間が常時戦争して勝たないと生き残れない仕組みになっているんですね。
当然、男たちはどんどん戦死します。いつも戦争ばかりしているんで、男と女の人口比率が思いっきり男が少なくなってしまうんですね。
これが、男一人が四人の奥さんを持つ風習をつくったのです。余ってしまった女性を草原に庇護者なしで放り出すわけにもいかないんです。こうしてできた四人の奥さんの風習が延々とイスラムの世界で今に続いているわけです。
戦争がなくても多くの人が食べられるようになった今後
戦争しなくても多くの人が食べられるようになった今では、この奥さん4人の風習はだんだんすたれていくでしょう。
イスラム大国であるインドネシアでは、今でも、有力者や資産家は4人の奥さんをもっているケースが多々あります。でも、庶民の世界では少ないです。
「有力者が女性を独占し、余った男が結婚できない!」という状況は、だんだん無理になってきているんですね。
イスラム教では豚が毛嫌いされる理由
イスラム教では豚が毛嫌いされるのも、この草原での生活の仕組みからきているのでしょう。
草原での食べ物になる羊は、いろんなところの草原にはえている、さまざまな草を食べて成長します。移動にもよく耐えます。もっとも羊の草を食べる食欲はすごくて、その土地の草を食いつくしてしまうので、移動を続けないと羊も育たないんですね。
豚はこれができません。いろんな食べ物を要求しますし、動きが鈍重で、いろんな土地に移動させ連れ歩くのはまったく無理なんです。要は、草原地帯での生活には向かない邪魔者なんです。
これが、イスラム教の世界で豚が毛嫌いされる根本の理由ではないでしょうか?