代理店権やビジネスノウハウになぜ百万円以上を払ってしまう？

百万円程度が必要な代理店ビジネスやビジネスノウハウ

サラリーマンをリタイアしたら年金で悠々自適とはいかないことは、ネットの記事ではさんざん出てきますので、ほとんどの人は感じているでしょう。

そこで、リタイアした後も、年金不足を解消しようと、ある程度の安定収入が入る方法を探すことになります。

それをインターネットで探すと、「代理店」や「ビジネスノウハウ」といった独立事業主になるための案内がいろいろ出てきます。

これらの案内が、本当にリタイア世代のあなたの役に立つのか、実態をみていきましょう。

①代理店システム

なにかの「商品」か「サービス」をメーカーや発売元に代わって営業して売って利益を取る事業です。

メーカーは、全国のお客に自分で営業することはできないし、あるいは効率が悪いので、地域や通信販売の媒体別に、そこで販売力がある人や会社を代理店にして売るのが有利だから代理店システムがあるのです。

この代理店をリタイア世代のあなたがやろうと思ったら、だいたい百万円～数百万円の在庫を持つことを要求されます。サービスの代理店なら数百万円の権利金を要求されます。

メーカーとしても、ある地域や媒体をその人に全部まかせる以上、頑張って売る証拠として数百万円単位の在庫を買ってくれることを代理店になる条件にするのです。

この条件はすでに事業をしている人たちにはそんなにおかしな条件ではないのですが、これから事業を始めるリタイア世代にはかなりキツイ条件でしょう。モノを売る事業をゼロから始めるのは相当に成功率が低いので、数百万円の在庫が売れずただのゴミになってしまう確率がメチャメチャ高いんです。

②ビジネスノウハウ

これをやればビジネスがうまくいって、数千万円～数億円の利益が取れる、といって、数十万円から百万円以上の「ビジネスノウハウ」を売るサイトが結構あります。

既に年間１千万円以上の利益をとっている事業をやっている事業主が「広告宣伝などのやり方を変えて利益が倍以上になる方法を教えてくれる」などというケースでは、価値があるビジネスノウハウもあります。

ただ、これはリタイア世代で、年金不足を補う程度の事業をこれからスタートしようという方は、こんなビジネスノウハウを買うのはやめるべきです。

既に事業をある程度成功させていて、それを改善してより利益を上げるのと、ゼロから事業を成功させるのは超えるべきハードルの数が全然ちがうんです。１００万円のビジネスノウハウもせいぜいそのハードルの一つを越えさせてくれるだけです。それ以外のハードルを自力で越えられなければ、ただ、お金を使っただけの結果になることがほとんどです。先に数十万円～百万円を使ってしまったという事実が重荷になるんです。

代理店事業なら月１万円程度の経費でできるものを選ぶべき

リタイア世代が代理店事業を始めるのに、経費が月１万円程度なら負担になりせん。逆に、この程度の経費でまともな事業になるの、と思われるかもしれません。

ところが、ある個人の代理店が営業活動の結果５軒の代理店を開拓し、その５軒の代理店がそれぞれ５軒の代理店（計２５軒）を獲得し、その２５軒の代理店がそれぞれ５軒の代理店を獲得すると、計１２５軒の代理店となり、最初の代理店から合計すると、１＋５＋２５＋１２５で合計１５６軒の代理店になります。

１軒が顧客に月10万円売り上げれば合計月1,560万円の売上で、年では約1億9000万円に近い売上になります。事業としてそれなりのレベルです。

問題は、これをマルチ商法やネットワークビジネスに似ているといって、頭から否定する人が多いことです。

冷静に見てみてください。100万円以上の在庫を買うことを要求する代理店制度と、月１万円程度を購入することを要求するこの代理店制度の、どちらが被害者を作りますか。

人間の感覚は不思議なもので、100万円~数百万円の在庫購入を要求する普通の代理店制度が、なぜか受け入れられ、１万円の消費を要求する代理店制度が被害者を作る悪質な制度だという人がマスコミを含めて多いのです。

冷静に考えれば、後者が被害者を作らない、リタイア世代に向いた仕組みです。